鍼灸マッサージ師になりたくて養成課程について調べてみたけど、養成校には大学と専門学校とがあるし、設置されてる学科も“本科”とか“専科”とか“東洋療法学科”とかいろいろあって違いがよくわかんないや。
一般的に専門卒より大卒の方が給料がいいっていうし、ちょうど家の近くに鍼灸師免許が取れる大学があるからそこに通おうかな…。
ちょっとストップ!!
「家から近いから」とか「学費が安いから」などの理由で養成校や学科を選んでしまうと、その後のキャリアパスに響いて後悔するリスクが高いから要注意だよ!
ちなみに僕なら絶対に鍼灸師だけじゃなく、マッサージ師免許も取れる学科を選択するな。
どうせ通うならマッサージ師免許まで取れた方がいいってこと?
それも一理あるけど、それだけなら“絶対に”とまではいわないよ!
鍼灸師免許だけでも臨床の道で活躍している例は多いからね!
僕が強く主張する理由は臨床以外の道にあるんだ!
この記事では鍼灸マッサージ師養成課程の選択肢についておさえた上で、なぜ鍼灸師免許だけじゃなくマッサージ師免許まで取得した方がいいのかお話しします。
この記事を読んでいただければ、少なくとも「そんな道があるのを知ってれば選択を変えてたのに!」と後悔せずに済みます。(場合によっては大幅な年収アップも狙えます。)
ESSENCE
Q. 鍼灸マッサージ師養成課程はどう選んだらいいの?
A. 鍼灸師だけじゃなく、マッサージ師免許も取れるかどうかで選ぶ!
なぜなら…
- 鍼灸マッサージ師のキャリアパスの1つとして●●になるという選択肢がある
- ●●になるためには鍼灸師免許だけでなくマッサージ師免許も所持していることが条件
- 鍼灸マッサージ科が設置されているのは一部の▲▲のみ(■■には鍼灸科しかない)
鍼灸マッサージ師養成課程に関する基本的知識
選択肢の全体像
なぜ選択を誤ると後悔するのかについてお話しする前に、そもそもどんな選択肢があるのかを整理しておきましょう。
ひと言に“鍼灸マッサージ師養成課程”といっても、全国津々浦々に専門学校や大学が存在し、様々な名称の学科が設置されています。
でも惑わされることはありません。つまるところ、養成校と学科の組み合わせは4通りだけなんです。
POINT
鍼灸マッサージ師養成課程の選択肢
- 専門学校
① 鍼・灸・マッサージ師免許“全て”取得できる学科(名称例:鍼灸マッサージ科、本科、東洋療法学科など)
② 鍼・灸師免許“のみ”取得できる学科(名称例:鍼灸科、専科、東洋療法鍼灸鍼灸学科など)
③ マッサージ師免許“のみ”取得できる学科(名称例:あん摩マッサージ指圧師科、指圧科) - 大 学
④ 鍼・灸師免許“のみ”取得できる学科(名称例:鍼灸学科、健康鍼灸学科、鍼灸サイエンス学科など)
※ 厳密にいうと、筑波技術大学という視覚に障害のある方々が通う大学では鍼灸マッサージ師免許全て取得できます。
専門学校は3通りのパターンがあるけど、大学では鍼灸師免許しか取れないんだ。
鍼灸マッサージ師免許全て取るには専門学校に通うしかないんだね。
そう!まずはそこをおさえておくことが大切だよ!
次に専門学校と大学の違いをみていこう!
専門学校と大学の違い
養成校の主な違いを下の表にまとめましたのでご覧ください。
なお、専門学校の数や学費は学科によって異なりますが、ここでは大学と比較するために専門学校も鍼灸科を想定して示しています。
専門学校 | 大学 | |
---|---|---|
管 轄 | 厚生労働省 | 文部科学省 |
数*1 | 85校 | 13校 |
通学期間 | 3年 | 4年 |
学 費*2 | 300~500万円 | 500~800万円 |
学位・称号 | 専門士 | 学士 |
同時取得可能資格 | なし(学費を払ってダブルスクールすれば可能) | あり(アスレティックトレーナーなど) |
授業時間 | 固定(=働きながら通いやすい) | まばら(=働きながら通いにくい) |
*1 スタディサプリHPを参考にしました。鍼灸マッサージ師養成校については東洋療法学校協会HPでも一覧が掲載されています。
*2 国試黒本HPを参考にしました。詳細な学費は各養成校の公式HPをご確認ください。
ざっくりいうと、専門学校の方が1年早く免許を取得できて学費も安いんだね。
大学では学士号を取得できたり、一部ではアスレティックトレーナーなどの資格も同時に取得できる学科もあったりするみたいだけど…?
その通り!
大学で学士号や他の資格を取得することについては最後のQ&Aで触れているよ!
ひとまず、僕個人としては大学で鍼灸師免許を取るメリットは少ないと考えていることだけ伝えておくよ!
専門学校の学科の違い
続いて専門学校のうち3つの学科の違いを整理します。
とはいっても、3年間という在学期間やカリキュラムなど基本的な部分は同じですので、ここでは該当校数と学費の違いだけ触れておきます。
鍼灸マッサージ科 | 鍼灸科 | マッサージ科 |
19校 | 85校 | 2校 |
約480万円*1 | 約380万円*2 | 約350万円*3 |
*1 全19校分の学費から算出しました。学校名(所在地)は以下の通りです。
赤門鍼灸専門学校(宮城県仙台市)、呉竹医療専門学校(埼玉県さいたま市)、東京医療福祉専門学校(東京都中央区)、東京医療専門学校(東京都新宿区)、東洋鍼灸専門学校(東京都新宿区)、日本鍼灸理療専門学校(東京都渋谷区)、国際鍼灸専門学校(東京都葛飾区)、東京衛生学園専門学校(東京都大田区)、湘南医療福祉専門学校(神奈川県横浜市)、呉竹鍼灸柔整専門学校(神奈川県横浜市)神奈川衛生学園専門学校(神奈川県横須賀市)、東海医療学園専門学校(静岡県熱海市)、名古屋鍼灸学校(愛知県名古屋市)、中和医療専門学校(愛知県稲沢市)、京都仏眼鍼灸理療専門学校(京都府京都市)、大阪行岡医療専門学校 長柄校(大阪府大阪市)、関西医療学園専門学校(大阪府大阪市)、四国医療専門学校(香川県宇多津町)、鹿児島鍼灸専門学校(鹿児島県鹿児島市)
*2 鍼灸マッサージ科との差を比較するために、上記19校のうち鍼灸科を併設している10校から算出しました。
*3 全2校から算出しました。学校名(所在地)は以下の通りです。
長生学園(東京都大田区)、日本指圧専門学校(東京都文京区)
鍼灸マッサージ科を選択する理由
鍼灸マッサージ師のキャリアパス
養成課程については大体わかったよ。
大学よりは専門学校に通った方がよさそうということも理解できたけど、鍼灸マッサージ科を選択しないと後悔するリスクがあるとまでは思えないけど…?
大袈裟に聞こえるかもしれないけど、ただの脅しじゃないよ!
僕が専門学校の鍼灸マッサージ科を選択する本当の理由は、あまり知られていないキャリアパスにあるんだ!
ここで鍼灸マッサージ師のキャリアパスの全体像をご覧ください。
臨床の道があるのはもちろん知ってたけど、教育や研究の道もあるんだね!
でも、鍼灸マッサージ科を選択する理由とどう関係があるの?
ポイントとなるのは教育の道なんだ!
僕が専門学校の鍼灸マッサージ科を選択する最大の理由は、教育の道に含まれている高校教員を目指せるからなんです!
なぜなら、高校教員になるためには鍼灸師免許だけでなくマッサージ師免許も所持していることが必要条件なんです。
いやいや、そもそも「鍼灸マッサージ師が“高校教員”になれるってどういうこと?」って思いますよね。
詳しくはこちらの記事に記載していますので、是非ご覧ください。
-
【キャリア02】高校教員にもなれる!?鍼灸マッサージ“教員”養成課程に進学するなら●●一択!
この記事では、「鍼灸マッサージ教員養成課程の選び方」をテーマに、①そもそも高校で鍼灸マッサージ教員をするとはどういうことか、②なぜ大学で免許を取得すべきなのか(専門学校と大学の教員養成課程の違い)につ ...
鍼灸マッサージ師が高校教員になれるなんて知らなかったよ!
でも、知ったところで高校教員になるつもりもあんまりないんだけど…。
そう思う人もいるよね!
でも、いつでもなれるように準備しておくことが大切だよ!
収入面を含めた鍼灸マッサージ師のリアルな事情について話していくよ…!
上の図に示したように、臨床の道は多くの鍼灸マッサージ師が進む王道といえます。
でも、いざ働いてみたら朝から晩まで治療にあたったり、その上深夜まで手技の練習をしたりすることもあります。
その上、勤務鍼灸師の平均年収は300~400万円といわれており、日本の平均年収である443万円よりも低いです。
ですので、鍼灸マッサージ師免許を取得して臨床に出たのはいいけど、実際に働いてみると体力的にきつい割に給与も低い…なんていう悩みを抱える例も少なくありません。(もちろん、患者さんに感謝してもらえるというやりがいもあります。)
生活していけないほどではないけど、決して収入が高いわけじゃないんだね。
でも開業すればもっと稼げるようになるんでしょ?
開業すれば収入は青天井、といえば聞こえはいいけどね!
一時は治療院(整骨院や整体院なども含む)の数はコンビニの2倍に至って、競争が激化するあまりここ数年では治療院の数は減少の一途を辿っているんだよ…。
僕の周りにも鍼灸院を開業したものの数年で閉めてしまった例があったよ。
一方、高校教員は地方公務員という安定した雇用である上に、平均年収も約680万円と比較的高いです。
成績処理や部活動の顧問などの業務に追われているイメージもあるかもしれませんが、鍼灸マッサージ師が高校教員になる場合、業務量はそこまで多くないというメリットがあります。
なんで鍼灸マッサージ師は高校教員の中でも業務量が多くないの?と思う方はこちらの記事をご覧ください。(しつこいようですが、僕がブログを始めたきっかけは特にこの高校教員になる道があることを知っていただくためなのでご容赦ください。)
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【キャリア02】高校教員にもなれる!?鍼灸マッサージ“教員”養成課程に進学するなら●●一択!
この記事では、「鍼灸マッサージ教員養成課程の選び方」をテーマに、①そもそも高校で鍼灸マッサージ教員をするとはどういうことか、②なぜ大学で免許を取得すべきなのか(専門学校と大学の教員養成課程の違い)につ ...
臨床の道を進むのであれば、正直なところ鍼灸師も鍼灸マッサージ師もそれほど大きな違いはありません。
ですので養成課程で支払う100万円の差がむしろもったいないようにも感じられるかもしれません。
ですが、教育の道を進むとなると状況は一転して、鍼灸マッサージ師だけが高校教員になることができ、平均年収も200万円ほど上がる可能性があるんです。
これで僕が“絶対に”専門学校の鍼灸マッサージ科を選択するという意味がおわかりいただけるのではないでしょうか?
確かに、実際になりたいかどうかはさておき、高校教員になれるという選択肢を知らずに鍼灸科を選択したら後悔しそうだね…。
もし鍼灸科に進んだ場合でも、後からマッサージ師免許を取得すれば高校教員は目指せるんだよね?
それはそうだよ!
でも、最初から鍼灸マッサージ科を選択していれば3年間の時間と約480万円の学費で済んだのに、鍼灸科とマッサージ科に通うとなると合計6年間の時間と約730万円の学費を払うことになるんだ。
相当な痛手だよね…。
後悔するリスクが高いっていった理由もわかったでしょ?
まとめ
鍼灸マッサージ養成課程には主に4つの選択肢があることや、ガネ吉が“絶対に”専門学校の鍼灸マッサージ科を選択するっていう理由が教育の道にあることがよくわかったよ!
高校教員になれることも踏まえて、今一度考え直してみようかな。
それがわかってもらえたらOKだよ!
最終的にどの養成校や学科を選択するのかは人それぞれだけど、鍼灸マッサージ師には臨床の道以外にもキャリアパスがあることを踏まえた上で後悔のない選択をしてもらえたら嬉しいな!
ESSENCE
Q. 鍼灸マッサージ師養成課程はどう選んだらいいの?
A. 鍼灸師だけじゃなく、マッサージ師免許も取れるかどうかで選ぶ!
なぜなら…
- 鍼灸マッサージ師のキャリアパスの1つとして高校教員になるという選択肢がある
- 高校教員になるためには鍼灸師免許だけでなくマッサージ師免許も所持していることが絶対条件
- 鍼灸マッサージ科が設置されているのは一部の専門学校のみ(大学には鍼灸科しかない)
Q&A
専門学校の鍼灸マッサージ科でなくてもいい例もあるの?
①高校教員には全く興味がない人
②アスレティックトレーナーなどの他の資格も同時に取得したい人
などは大学に行った方がメリットがある気もありそうだけど…。
はっきりいうと、全員が鍼灸マッサージ科を目指すべきだと僕は思うよ!
僕の周囲で日本代表チームやプロ球団でトレーナーをしている方々の意見も含めて回答するよ!
まず①の例ですが、今は興味がなくても、臨床に出てみた後でイマイチ仕事がしっくりこない、激務に耐えられない、給料が低いなどといった理由で辞めたくなってしまう可能性があります。
②の例についてですが、まず現状として国内では全てのトレーナー資格は民間が発行していますので、必ずしも取得する必要はないという点にご注意ください。(基本的にトレーナーという職業は“自称”でして、多くの場合は鍼灸マッサージ師や柔道整復師、理学療法士などの免許所持者が活動しています。)
もし「日本代表チームやプロ球団でトレーナーをしたい」という希望をお持ちの場合は、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーの資格を所持していることを求められることがありますので取得する必要があるかもしれません。
ですが、アスレティックトレーナーの資格を取得したところで、そういったチームのトレーナーになれる保証はありませんし、希望がかなったとしても給料はそれほど高くありません。(具体的な額まではお聞きできませんでしたが、ご本人はそう仰っていました。)
さらに、大会や遠征、合宿に帯同しなければならず相当な激務ですので、若いうちはやり甲斐を感じられるかもしれませんが、一生続けられる職業かというとそうではありません。
ですので、トレーナーとしての第一線を退いた後のことを考慮しておく必要があります。
割と耳にするのは鍼灸院を開業する例です。
トレーナー時代のキャリアが患者さんの信頼に繋がったり、帯同していたチームの選手が患者さんとして来てくれるなどのメリットもあるかもしれませんが、それで経営が上手くいく保証はありません。
ですので、高校教員になれるという選択肢を残しておいた方が得策と言えます。
臨床の道に進む場合でも、学士を持っていれば給与が上がるなどのメリットがあるんじゃないの?
研究の道にも興味があるんだけど、その場合はさすがに大学に通っておいた方がいいんじゃないの?
どちらも僕の回答はNoだよ!
まず、臨床の道に進む場合、大卒でも給与が上がる例は少ないと思います。
少なくとも僕の周りで「大卒だから給与が上がった」という話を聞いたことがありませんし、実際鍼灸マッサージ師は腕があってなんぼの商売ですから、学士を持っていたところで特に効力はありません。
むしろ専門学校卒の方々と比較して臨床に出るのが1年遅れてしまったり、学費が高かったりなど、デメリットの方が大きいです。
また、研究の道に進む場合、大学院進学に備えて大学を卒業(=学士号を取得)しておいた方がいいのではと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、勘違いされている人も多いですが、専門学校卒でも大学院へ進学することは可能なんです。
詳細はこちらの記事で解説していますので、よろしければご覧ください。
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